第99回 呪いのラケット



2週連続で、テレビの前で「ぎゃーっ!」ってうれしい悲鳴を上げることになろうとは!
予告編、予告編ですよ!
手塚だ!手塚よ〜!!
テニスコートのフェンスの傍にたたずむ後姿を見た瞬間、手塚!って思ったんだけど、次の横顔を見た時には、キャーッって叫んでいましたよ。
来週、手塚がブラウン管で見れるんですね!
わ〜い!わ〜い!!
なんて美しい横顔なの?もう、うっとり・・・。
ああ、不二に見せてあげたい〜!
もう、予告編を見たら、「呪いのラケット」のことなんて、すっかり飛んでしまったわ・・・。
ごめんね、他の青学のみんな・・・。
でも、「越後君ってこんな顔だった?」と言ってのっぺらぼうになって、薫ちゃんを理科室へ走らせた後、「一度やってみたかったんだよね。」とのたまった不二様は、さすがです。

そうは言ってもやっぱり感想書かないと、アニプリの感想にならないからね。
「呪いのラケット」について一言。
まあ、突っ込みどころ満載の話でしたね。
なんで、救急車のドアが開いて、ラケットが落ちるんだ?から始まって・・・。
でも、一番は、お約束にもれず、遊ばれキャラは、薫ちゃんだったってこと。
恐がり薫ちゃんが発覚!
逃げ出そうとする薫ちゃんになぜ、桃ちゃんが一番に気づくんだ?(桃海?)
不二ののっぺらぼうに脅かされ、理科室に逃げ込み、骸骨に絡まれ・・・。
散々な薫ちゃんでしたが、きっと桃と乾は、薫ちゃんを絶対遊園地のお化け屋敷に連れ込もうなんて考えたに違いありませんね。
入る寸前まで黙っていて、目の前にきたら、「恐いのか?」と言うと「何言ってやがる。」ってきっと強気にでるのが、わかっているもんね。
で、中に入ってから、ギャーとかワーとか叫ぶ薫ちゃんをどうにかいたそうと考えているに違いない。
これは、薫ちゃんファンの友だちの妄想からですが・・・。
最後の提供バックのところなんて、骸骨持って薫ちゃんを追いかける乾さんなんて、乾海の人にはたまらんサービスだったのでは?
リョーマは、やっぱりリョーマでしたが、変に肝が据わっているっていうか・・・。
ん、でもやっぱり手塚ファンの私としては、あの予告編が今回のアニプリのすべてです!早く早く!1週間がたたないかな。


さて、手塚ですが、一瞬、私も(えっ?手塚、帰ってくるの?)って思ったんだけど、何度もビデオを巻き戻して見て、テニスコートには、ボールが行きかうとこしか写っていないし、青学のコートじゃないような・・・。
周りも木々が高いし、やっぱりドイツのどこかのテニスクラブのコートかな?って想像したわけです。
宮崎なら、様子を見に帰ってくるのも有りだろうけど、ドイツじゃね。
行き帰りだけでも大変だし・・・。
トレーニングでランニングで走って行った先が、テニスコートだとか、病院内のテニスコートだとか、まあいろいろ場面は想像できるので・・・。
ああ!手塚が帰ってきたのなら超うれしいけど、そうでなくて、ドイツでも何でもいいから、出てきてくれるだけで幸せ!
早く早く来週にならないかな〜!

ということで、ドイツの手塚編(ショートストーリー)です。


『出会い』

軽やかなボールの弾む音を聞きながら、手塚はじっとコートを見ていた。
何面もある広いテニスコート。
設備も整い、何もかもが日本と違ってスケールが大きかった。
手塚のトレーニングの一つであるランニングのコースの途中にこのテニスクラブはあった。
いつの間にかランニングを終えると、このテニスクラブでテニスをやっている人たちを見学するのが、手塚の日課になっていた。

東洋人は目立つ。
しかも、その東洋人は、東洋人にしては背も高く、めったにお目にかかれないほどの美形だったのだからなおさらだ。
いつもフェンスの外側からコートの中を熱心に見ている東洋人のことが、テニスクラブに通う人々の間で噂になっていた。

「おい、お前。日本人か?それとも中国人?」
フェンス越しに見ている手塚に近寄って、声をかけた者がいた。
日本で言うと高校生か大学生くらいの年齢だろうか。
手塚よりは少し年上のようだった。(もちろん、向こうが手塚を年下と思っているかどうかはわからないことだったが・・・。)
「日本人だが・・・。」
「なあ、いつも熱心に見ているようだが、お前はテニスをしないのか?」
「いや。」
「なら、俺と1ゲームやらないか?なんなら、俺が手取り足取り教えてやるよ。」
ククク・・・と下卑た笑いを浮かべる男を手塚は冷めた目で見ていた。
「おいおい、やめとけよ。かわいそうだろうが。」
周りにいた友達らしい者たちが、止めるようなそぶりで囃し立てる。
あきらかに、外国人の手塚をからかってやろうという魂胆がみえみえだった。
「テニスは知っているから、別に教えていただかなくても結構だ。」
「ふーん。それなら、反対に俺が教えてもらおうかな?なあ、俺にお前の知っているテニスってやつを教えてくれよ。」
「よせよせ。」
ニヤニヤと笑っている男たちの顔を見ながら、手塚は小さくため息をついた。
こういう輩は、何を言っても自分たちの思い通りになるまで絡んでくるのに決まっている。
まだ、左手でプレイする許可は、おりていない。
だが、右手でプレイすることはできる。
そろそろ相手が欲しいと思っていたところだった。
どのくらい通用するのかも見て見たかった。
「相手になるかどうかはわからないが、それでもよければ・・・。」
「へぇ、かわいいこと言うじゃねぇか。いいよ、いいよ。やさしく相手してやるから。」
手塚は、相手が多分自分の練習台にもならないということを言いたかったのだが、相手は完全に誤解していた。

手塚がコートに入るとそれまで各々打ち合っていたコートの面々が、手塚たちのコートの周りに集まってきた。
誰もが噂の東洋人を間近で見たかったのだ。
テニスをするというのなら、なお更だった。

手塚の左手が正確なトスを上げ、完璧な美しいフォームで右腕が鞭のようにしなり、鋭いサービスが決まった。
「15−0」
どよめきが起こった。
「サービスエースだ!」
「なんてきれいなフォームなんだ。」
観客からため息がこぼれ出た。
手塚を挑発した男たちの顔色が変わった。
2本目もきれいに決まった。
相手は、手塚のサーブにかすることもできなかった。
また、相手のサービスゲームは、手塚が簡単にリターンエースを決めてしまっていた。
サーブもスマッシュもロブも面白いように決まった。
反対に相手はまったく手も足も出なかった。
まさしく「相手にならない」だった。
「ゲームセット。ウォンバイ、テヅカ、6−0」

ゲームを終え、涼しい顔をして握手を求めた手塚を相手の怒声が遮った。
「今のは、油断したんだ。俺がこんな日本人に負けるわけがない。もう1セットマッチだ。」
自分の負けを認めず、掴みかからんばかりの勢いで手塚に詰め寄る。
その時、
「よさないか!見苦しい!誰がどう見たって貴様の負けだ!」
背筋がピッと伸びるような張りのある深い声で叱責が飛んだ。
全員がその声の主を見た。
「カイザー!カイザーだ。」
周囲から口々に「カイザー」という声が聞こえてきた。
そこに現れたのは、金髪碧眼の生粋のアングロサクソン人。
その上、一目でそこにいる誰ともレベルが違うとわかるほどのオーラを身にまとっていた。
(カイザー?皇帝か。跡部のようだな・・・。)
手塚は、日本で対戦した氷帝の跡部景吾をふと思い出した。
纏っている雰囲気に似たようなものを感じていた。
カイザーと呼ばれた男と手塚の目が合った。
お互いに対戦して見たいと思ったが、それは、叶わなかった。

「おーい、テヅカじゃないか。何をしているんだ?もうとっくにリハビリの時間だよ。」
声のほうを見ると、手塚の主治医がそこにいた。
学会か何かの帰りなのだろう。
きちんとしたスーツ姿だった。
「先生。すみません。すぐ、行きます。」
「リハビリ?」
カイザーのつぶやきに医師が気づいた。
「やあ、カイザー。久しぶりだね。紹介しよう。彼は日本から肩の治療に来ているテヅカだ。」
「テヅカ、彼はみんなにカイザーと呼ばれている通り、今のところ敵なしのNO.1プレーヤーだ。」
手塚とカイザーの目が合う。
「肩の治療?だが、彼は、今しがた試合をしていたぞ。」
「何だって?テヅカ!そんな許可は、まだ出していないはずだよ。」
「すみません。でも、右手でしましたから。」
「しかたないね。まあいいだろう。でも、無茶をしてはいけないよ。」
医師は、困った人だというような顔をした。
「右手?どういうことだ?」
いぶかしむカイザーに医師が手塚に代わって笑って言った。
「ああ、彼は左利きなんだよ。今はまだ、左手は使うことを禁じられているんだ。」
「・・・!・・・」
その場にいた誰もが驚いて声がでなかった。
この男は、利き腕と反対の手で先ほどのゲームをしたというのか・・・。
カイザーと呼ばれた男は、急に手塚に興味がわいてきた。
こいつのことをもっと知りたい。
「おい、テヅカだったか。左肩が完治したら、私と試合をしろ。」
興味津々の顔でにやりと笑いながら高圧的に物を言うカイザーは、でも、いやな奴には思えなかった。
「おやおや、テヅカ。大変な男に見込まれたね。これは、気合を入れて治さなければ!カイザー、テヅカは、私の大事な患者だ。私の許可なく試合を申し込んではいけないよ。」
そう言って、医師は手塚を促した。
「わかっている。テヅカ、早く肩を治せ。私はベストなお前と試合をしてみたい。」
カイザーは、にやりと笑った。
手塚は、返事はしなかった。
やっぱり、跡部に似ている・・・。
ドイツにも跡部がいると言ったら、不二は何て言うだろう・・・。
メールでも打ってみようか・・・。
手塚は、そんなことを考えながら踵を返した。






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