呪いのラケットより発展妄想話『Wデートだ!?-3-』
〜跡部家の運転手は見た!聞いた!惚れた?〜



遊園地の駐車スペースにて


私の名前は、高良 司。
跡部家の運転手をやってます。
といっても、旦那様の運転手を勤める大先輩に比べればまだまだ若輩者、奥方様やご令息の送り迎えが主な仕事。
行く行くは旦那様の専属に、と望んでいた私に、先週の日曜日、ちょっとした心境の変化が起きまして・・・。

跡部「(嫌がる薫の手を掴み)オラ、さっさと乗れよ。」
薫 「離せっ、独りで帰る!」
跡部「・・・(無言で薫を車内に突き飛ばし、自分も乗り込んで)早く出せ!」
薫 「何するんスか!!」

「人さらいです。」
思わず答えたものの(ツッコミともいう)、心の声だったので、抵抗している人にも景吾様にも聞こえなかったようですね。(後者には、聞こえたら失業の危険が。)
跡部家の一人息子である景吾様のご用は、人さらいでした。
立派な犯罪ですが、私はしがない運転手、主人の命に従うしかありません。
なんだか楽しそうだし、いいでしょう?
跡部家の方々は、犯罪を犯すかもしれませんが、それが発覚するようなマネはなさいませんでしょうし、私の身も安全です。
車を発進させた私の耳に、後部座席の会話が聞こえてきました。
あのー、断っておきますが、不可抗力ですよ?でばがめしたわけじゃありません。
ま、少し耳を済ませたかもしれませんけど?

薫 「降ろせっ、俺は帰る!」
跡部「・・・ふざけたこと言ってんじゃねーよ。(明らかに不機嫌)
   さっきのアレは何だ、アーン?
   しっかりあいつにすがってたよなあ。」
薫 「(赤くなって)そんなこと、してねぇっ。だから、間違えたっスよ。」
跡部「この俺様をか?ありえねーな。」
薫 「暗くてわかんなかったッス!何怒ってんスか。(瞳に涙をためて)
   俺、行きたくねぇって言ったのに・・・」
跡部「言い訳なんざ、聞きたくねーな。お化け屋敷なんか平気だっつったのは、お前だろ?
   それとも、実はあいつと行きたかったのか?」
薫 「なっ・・・。(言葉がでない)」
跡部「そうなのか?」
薫 「そんなわけないだろっ!」

あらら、とうとう泣かしちゃいました。
話を聞いていると、どうやら景吾様に無理やりお化け屋敷に連れて行かれた人が、景吾様と間違えて誰かにすがった?(少なくとも景吾様にはそう見えた)らしいですねぇ。
で、景吾様はそれが面白くないと。
珍しいでしょう?
あの景吾様が。
遊園地に呼びつけられただけで、今日の天気を心配しましたのに。
そんなかわいらしいところに行かれるのは初めてですよ、いつもはもっと・・・(それ、薫に言ったらクビにするぜ?跡部様お怒り)・・・いいえ、なんでもありません。
跡部家のご令息の素行は、「(高水準を満たして)来るもの拒まず、(すぐ飽きて)去(らされ)る者追わず」で、長続きした試しがないんですよねぇ。

薫 「アンタだって思ったから・・・(こぼれる涙にかまわずキッと睨む)」
跡部「・・・薫。(そっと抱きしめる)」

思わず振り返ってしまいましたよ。
どこか戸惑いながら、かみしめるように名前を呼ぶ声と、腕の中の黒髪にそっと唇を落とす姿は・・・
本物の景吾様?
すりかわった別人じゃないでしょうね(疑惑)
あ、私、運転の腕はいいので、事故なんて起こしませんよ?
ですが、目に入った光景に事故りそうになったのは、ここだけの話。
いえね、相手が男の方だというのは、どうでもいいんです。
え?問題なんですか?
それより、物事にあまり動じない私も、俄然興味がわいてきました。
一体、どんな方なんでしょうか、薫様とおっしゃるのは。
チラっと見えたのは、キューティクル輝く綺麗な黒髪、しなやかな肢体、花の顔(かんばせ)。
耳に残るのは、強気な声と、飾りのない言葉。
今までのお相手の方たちとは違って、一片の媚も含まない潔い声が、裏のない誠実な言葉を告げる様は、薫様の麗質を伺わせて、さすが景吾様と感服いたしました。(フッ、当然だろ。俺様のインサイトをなめんなよ?跡部様談)
美しくて、純粋で愛すべき性格を思わせるその方を、もっと知りたいと思いまして・・・ね。

ですから、執事さん。
旦那様付きにというありがたいお話ですが、私はもうしばらく跡部様付きということにしていただけませんかねぇ。


そういえばあの帰り道、もう一組よく目立つカップルを見ました。
景吾様方と同じくらいの年頃の、男の子同士。
友達ですって?それはありえません。(キッパリ)
だって、私、呼ばれて遊園地の前に行った時、景吾様をさがして徐行してましたから、間近で見たし聞こえたんですよ。

不二「ねえ手塚、さっきから不機嫌だね。どうしたの?(白々しく問いかける)」
手塚「別に。」
不二「もしかして、妬いてる?」
手塚「(冷たく)馬鹿を言うな。」

素早く切り返したものの、手塚の内心は複雑だった。
お化け屋敷に自分を引っ張って行った不二。
しかし、気恥ずかしかった自分は、ついその手を離せと言ってしまった。
その後、先に入ったはずの跡部・海堂の二人とぶつかり、自分以上の怖がりである海堂が、(多分、意地を張ってつかまらずにいた跡部と間違えて)不二の腕にギュッとしがみついてしまったのだ。
手塚とて、けしてホラー系が得意ではない。
だから、お化け屋敷の中にいる時は、不二も海堂も(もちろん跡部も)なかった。
(この俺様を気にかけないとは・・・こいつ、不死身か。 跡部様CM風に)
しかし、外に出て、不二が海堂を腕につかまらせているところを見て湧き上がるこの感情は・・・嫉妬、なのか?

思わぬ収穫に、不二は内心を全く悟らせない天使の微笑を浮かべた。
手塚は女の子には妬いてくれない。
焼き餅を焼く可愛い手塚を見たくて女の子と腕を組んでも、逆効果で別れ話でもされるのがオチだ。
スクエアで、恋愛に鈍感というか臆病なところもある彼は、かえって自分の身を引いてしまうだろう。
そんなことになったら目も当てられない。
海堂は、そんな手塚が、一瞬揺らいだ表情を見せる貴重な人材なのだ。
(戸惑ってる手塚なんて、めったに拝めないよ。フフッ、海堂に感謝だね。)
不二の場合、感謝が彼なりの愛情表現になってしまうので、海堂は多分正反対の意味にとるだろう。


あれは絶対、痴話喧嘩です!
二人とも、タイプは違うけどきれいな子たちでしたよ。
景吾様方とWデートでもすれば、映えるでしょうねぇv
まずしないと思いますけど。
私ですか?
別に、男女にこだわらないだけです。
え、ついていけない?頭痛がする?
執事さんも意外とお堅いんですねぇ。
もっと柔軟な考え方が、跡部家にお仕えするには必要だと思いますよ。
なんてったって、次期当主は、景吾様ですから。
END


<ごあいさつ>
こうして、薫ちゃんファンがまた一人。
次は、執事さんか?跡部家訪問後、「景吾様、薫様と末永くお幸せに。」って(笑)
手塚さんと不二様も楽しく書かせていただいて、ありがとうございました。
少しでも楽しんでくださると嬉しいのですが。              by N


<お礼>
Nちゃん〜、どうもありがとう!
一応の終了?でしょうか?
ネタは尽きないほどあるそうですので、ぜひ、何作も書いてほしいものです。(でも、不二と手塚もからませてね。お願い!)
いやあ、改めて貴女が薫ちゃんのめちゃめちゃファンなんだなって、思い知らされました。
愛情の偏りがありすぎる・・・。(笑)
お疲れ様でした。



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